みっともない!! 025
【つまようじ恐怖症】
数年前、東京は神楽坂にある有名なうなぎやに入った時のことである。注文したうな重の竹がお盆に乗せられてきた。お盆にはうな重の他、肝吸い、お新香、小鉢、そして箸紙に納められたお箸が置かれていた。さっそく、食べようとお箸を取ると感触がおかしい。くっついているはずの二本が既に割れていた。箸紙から出すと、それは使用済みの箸だった。店の人を呼ぶと恐縮し、何度も詫びをいれにきた。非常識な振る舞いではあるが、作法を心得た客の箸を、なにかの間違いで捨てずに置いてあったのだろう。
目当てのうなぎも大変おいしかったし、お詫びにと松にだけ付くデザートも頂いたし、そこは満足な気分で、ふとつまようじを取ろうとした時、ある戦慄が走った。
「まさか、つまようじも・・・」。
あり得る話である。だれもが使ったつまようじを元に戻す人はいないと思っている。というかそんなことを普通考えない。だが、ぼくはこれにハマってしまった。あり得ることだ、と。
こんな状況に置かれたことはないだろうか。食事を済ませ、つまようじでチッチッやっていると、テーブル上のお盆から何まで全てさっさと片付けられることがある。それ事態は何も悪くはないのだが、気が付くとつまようじの捨て場がないのだ。最近では禁煙のため灰皿も置いていない。
そんな時、元に戻すやつがいても不思議ではない、かもしれない。それに無意識にやるやつもいるかもしれない。習慣になっているやつもいるかもしれない。愉快犯もいるかもしれない。お箸はすぐにわかるが、つまようじはとても判別が難しいというか、先を確かめることをしない。盲点だ。
お店のつまようじが怖い。でも、歯の間をチッチッしたい。
みなさんがもし街の飲食店で、つまようじを一本一本チェックしているやつを見かけたとしたら、それは多分ぼくだ。
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